「璃音さんってね、彼氏いるんだ」


「へ?……そうなの?」


驚いてはみたものの、別に大塚とは友達でも同僚でもないから、そんなの知ったことではないけど。


でも、もしそれが本当なら……少なくとも松原くんのことを好きだという可能性はほぼなくなる。

奥歯に力を入れ、頬の筋肉がゆるみそうになるのをぐっとこらえた。


「それにしても、世の中じゃ彼氏がいても男作ったりするやつなんかいっぱいいるじゃない。

それに、それがどうして秘密なわけ?」


そもそも、男を誘っているとしか思えない、疑惑のグロスなのに。

あの女の色気で、彼氏以外の男を作るなんて簡単なはずだ。


私の頭の中をそっくり読みとったかのように、ゆたは首を横に振った。