その手を天高く伸ばせば

「おはよう」

「!おはよ・・・」

アキコは目も合わせずに挨拶をした。

「・・・何か機嫌悪くね?お前・・」

仏頂面のアキコにストレートに聞く。

「・・・・別に、生まれつきよ」

「あっそ・・・」

仏頂面のアキコから離れて男友達の方へ行きかけた時、アキコが小さな声でケンチに話し掛けた。

「・・・・昨日なんで来なかったのよ」

「え?」

進みかけた足を止めて振り返る。すると今度は睨むアキコとバッチリ目があった。

「昨日、サークル活動の日だったのに来なかったじゃない!皆待ってたのよ!!!」

だんっ!と机を叩き立ち上がった。

「?!悪い!忘れてた!用事が出来て・・・先に帰ったんだホントまじ悪かったな」

アキコを拝む様に手を合わせ何度も頭を下げる。

「・・・用事って、彼女でしょ」


冷たい口調で聞いた。
「あ〜・・・えっとぉ〜」

アキコから目線を反らして頭をボリボリと掻く。

「アタシ達が参加してるサークルは、将来医者になるために参考になるからって、二人でボランティア活動するサークルに入ったんじゃない!!!」

また机を叩く。

「・・・ああ」

申し訳ない感じで肩をすぼめる。

「だから・・悪かったって・・・今度はちゃんと参加するよ」

「アンタ本当に医者になりたいの?!これからもっと授業だって大変になるのに!彼女がいるからって遊んでばっかじゃ留年だってしかねないんだからっ!」

「・・だから、ちゃんとサークルも参加するし勉強もやるから・・・そう怒んなよ」

何とか宥(なだ)めようとするケンチに、アキコは続けた。

「大体その女・・・頭おかしいんじゃない?もうすぐ試験だって言うのに休みの日も放課後まで引っ張り回すなんて・・・自分の事しか考えてないんじゃないの?」

腕を組み、ユウを見下す態度で言ったアキコに、ケンチが詰め寄り一言だけ強い口調で口にした。

「ユウの事を悪く言うな!」

「!!!!」

ケンチの真剣な表情に、アキコは少し弱気になりケンチから目を反らした。

「な、なによ・・」

♪♪♪・・♪♪♪・・・♪♪♪♪

ケンチの携帯が鳴った。

「ユウどした?・・・ハハハッばっかだなぁ〜アハハ・・」