その手を天高く伸ばせば

ある日の午後



突然のユウから着信・・・

♪♪♪・・♪♪♪・・・♪♪♪

「どしたの急に?」

『え?何と無く〜』

「何と無くぅ?なになに俺の声聞きたくなった???」

『ば!バッカじゃない!!バッカ!』

プツン!と電話を切られ、茫然と自分の携帯を見詰めるケンチ。すると、メールが届き、開いて見ると・・・ユウからだった。

「・・・?」

《ふぅ〜んだっ!》

絵文字つきで送られてきたメールには、スネたっぽいユウから一言だけ。


「変なヤツ」

クスッと笑うとケンチは授業に戻った。

「さっきの電話誰からだったの?」

教室に戻ると高校からの腐れ縁のアキコが、昼休みの食堂から姿を消していたケンチに話し掛けてきた。

「ん?まあね・・」

「・・・・彼女・・とか?」

アキコのストレートな質問に、笑顔だけ返してケンチは男友達らが居る席へと座った。

「・・・彼女と、まだ続いてるんだ・・」

アキコが小さく呟いた。それからケンチたちとは離れた席に一人腰掛けて、机に肘をつきながら溜め息を吐くと、遠くからケンチたちを眺める。

「・・・・・」




ジリリリリリリ・・・
授業開始のベルが鳴る。








「キィ〜!!ケンチのヤツ調子乗りやがってぇ〜〜〜〜」

荒々しく携帯を閉じるとユウの頬はプゥ〜〜!と膨らませた。

「そりゃ・・用事なんてなかったけどぉ・・・、ちょっと電話で話してみたかっただけだけどぉ〜・・・」

ふぅ・・・と溜め息をつくと、ユウは何気に時計へ目を向けた。

「うわ!休憩終わってるじゃんっヤバッ!!」

慌てて弁当のフタを閉じてカバンに押し込むと、食堂をダッシュで飛び出して行った。

「まじヤバイ!!!」



そしてユウは上司に、こってりとお説教を頂いた・・・



<あちゃー・・・やっちまったよ・・>