「あ・・・・ダメだ・・・」

ユウは気を失うように眠りに落ちた。

<なんなんだ・・・この体調不良は・・・・・・?・・・・>

ナゾのまま意識が消えた。










携帯の時計が午後3時を過ぎていた。

「・・・・マジ、大丈夫かよアイツ・・」

心配から自然と貧乏揺すりが出る。
ガタガタと足を揺らしている上に、タバコを吸いながら携帯の画面を睨む様に見詰めるケンチを、アキコが窘(たしな)める。

「・・ちょっと、ソレやめてくんない?」

「あ?なんだよ」

コーヒーを啜(すす)りながら携帯の画面を睨みながら足を揺すりながらケンチが言った。

パチンッ!アキコがケンチの揺れる足を思いっきり叩き睨んだ。

「コレだよ、コレ!足を揺らすなっ!行儀が悪い」

まるでお母さんみたいな注意だ。

「オレ貧乏揺すりしてた?」

驚いた顔でアキコに聞く。
すると、ピクリ・・とアキコの左眉毛が上がり、ゆっくり目だけ動かしケンチを見ると、「ふんっ」と鼻を鳴らした。

「あ・・・・ワリィワリィ・・ついイライラして」
頭を掻きながら照れ笑いで謝る。そして謝りながらも尚、携帯の画面をちら見する。
頭に来たアキコはケンチの携帯を手から奪い取ると、立ち上がり鬼のような形相でケンチを怒鳴った。

「さっきから携帯ばっか見て!アンタ本当に今日サークルに参加する気あるワケ?!しかも初めは断ったくせに急にオレも参加するよ・・なんて言い出したと思ったら、今度は来たら来たで『心ココに在らず』状態で役に立たないし!!!ナニ考えてんのよ!!!」

一気に怒りを、ケンチにぶつけるアキコ。その凄まじい迫力に、ケンチはポカン・・と口を開けてアキコを見上げるばかり・・・

「大体アンタ最近浮かれ過ぎなんじゃない!回りに迷惑かけてるのにも気付かないで!!しっかりしてよね!バカ男が!!!」

ケンチに、まくし立てて言った。興奮しているアキコの両肩は大きく上下していて、少し鼻息も荒々しかった。いつもクールなアキコの逆鱗(げきりん)に触れてしまったケンチは、固まってまま吸いかけのタバコを指からポトリ・・と地面に落としてしまった。
そして1・2秒の沈黙の後、ケンチが一言口にした。

「・・・・すいませんでした・・・」