その日、優奈のクラスはいつも以上に騒がしかった。

元から活発な奴らばかりでうるさいが、今日は何か空気が違っていた。

優奈は何事かと友人に話し掛ける。

「ちょ、これ何かあったの?」

「ん?あ、優奈!今日転校生が来るんだって!」

明莉もテンションが上がってるみたい。
たかが転校生かよ…と心の中で呟く。

「何だ、転校生か」

ため息をつきながら言うと明莉はヘラヘラと笑顔で反論する。

「男子だよ~?新しい出会いのチャンスじゃん!」

────そんな理由かい。
優奈は持ってきた鞄をダルそうに机に掛けて明莉を見た。

明莉は社交的な性格で、まだ中学生だというのに彼氏は何人もいる。
可愛くてモテるから、告白されたら全部OKするらしい。
「1人に決められないしー」とかいって。

大人っぽい顔だから、中学生だとは思われなくてよく高校生にナンパされてる。

今回も狙ってるようだ。

「イケメンじゃなかったらどうすんの」

「転校生は皆かっこいいの」

何その法則。
でも何だか明莉らしくて呆れながらも笑ってしまった。