そんなある日、
いつものように公園で遊んでいると
「ね、ゆき!さくら、あの白いのに上っ てみたい!」
そう言った彼女の指差す方を見てみると
"灯台"だった。
「うん!行こっか!」
そう言って二人で仲良く手を繋いで
向かった。
僕は、何度かお母さんに連れてきて
もらったことがあった。
僕達が住んでいるこの町は大きい町じゃない。
でも、海の近くでありこの灯台に登ると
海と町の両方を見渡せる。
灯台を登るとキミは目を見開いて
光景に見入っていた。
そして静かに涙を流したんだ…
隣にいた僕はビックリして、
どうしたの?って聞いた。
そしたら、キミは話し始めたんだ。
「あのね、さくら、お母さんもお父さんもいないの。さくら、捨てられたんだって。」
僕は、驚いて目を見開いた…
「今ね、太陽の家で暮らしてるの」
あぁ、そうか…
前にお母さんが迎えにきてくれた時、
君は自分のお母さんを思ってたんだね…
気付いてあげられなくてごめん…
毎日、一緒にいたのにキミのこと
何にも知らなかった…
僕は、なんて言っていいか分からなかった…
ぃゃ、何も言えなかったのかな…
それでも、彼女は強かった。
「でもね、太陽の家のみんな優しいし、
今はゆきもいるから寂しくないの」
だから、この時幼い僕は誓ったんだ。
"キミを守りたい"って
密かに誓った…
「ねぇ、ゆき!また二人でここに来よう ?この景色、好き!」
「うん!来ようね!僕も好きだよ、この 景色」
海が落ちていく太陽に反射してキラキラと輝く。
「約束だよ?」
「うん、約束」
そう言って、5歳のまだ小さな小指で
指切りしたね。
「そろそろ帰ろっか」
そう言ってまた、二人手を繋いで帰った。

