「あ、あそこ空いてる」




高坂が指したのは四つ角の一つ。日当たりはまあまあで寒くはなさそうだ。




「「いただきます」」




そこに腰をおろして弁当を広げる。高坂の弁当は男の俺と同じくらい多かった。彼氏の前でもなんでも遠慮なしの量。




「高坂さんの美味しそうだね」




「ん、食べる?因みにこれ兄貴作」




「司さん料理できんの!?」




「兄貴は料理うまいよー」




だからはい、と弁当箱を俺の前に押しやってくる。色鮮やかなおかずの数々。




「いただきます…」




誘惑に負けた。その中から無難な卵焼きを選ぶと、口に運ぶ。甘めの卵焼きだったようでふんわりと甘さが口に広がる。




「うまっ…」