呼び止められてるのを無視するわけにもいかずその場で止まって振り返る



「その、好きな人がいるって
みんなに言ってるみたいだけどほんとなの?」


はっきりとした数は覚えてないけど

今まで何回もそう言って断ってきたので

まぁ噂にはなっているだろう





「ほんとだよ」


信じてもらえるかは分からないけど



「⋯誰なの?」


誰と聞かれても⋯

名前を答えたところで分からないだろうしな


と考えていると間が空いたからか

菊野栞が先に口を開いた




「誰でもいいけど、私は諦めないから」


そう言うと菊野栞はこの場を立ち去った





初めての展開に思わず呆然と立ちすくす


⋯まじかよ