同日の昼、オドが食事の為に帰宅すると、土間の囲炉裏端に幹雄がぽつんと座っていた。

ふざけて狸寝入りしているのだろうと思ったオドは、わざと大声で話しかけながら近づく。

「どしたぁ幹雄、そんなとこ座り込んでぇっ」

幹雄の肩に手を掛けて覗き込んだ。

その時、手に触れたヌルリとした感触。

オドは幹雄の顔下に付着した血の塊と、何かで抉られた喉元の傷を見つけた。

側頭部には親指大の穴が穿たれ、既に幹雄は事切れていた。

「マ、マユッ!マユぅっ!」

オドは恐怖に震えながらマユを呼んだが何の応答もなく、ただ薄暗い奥の居間から異様な臭気が漂うのみであった。

何だこの臭いは…。

只ならぬ事態を察したオドは家を飛び出し、下流の架橋現場に走った。