終わってみると12日からの三日間で投入された討伐隊員はのべ600人、アイヌ犬10頭以上、導入された鉄砲は60丁にのぼる未曾有の討伐劇であった。

ヒグマの死骸は人々が引きずって農道まで下ろされ、馬橇に積まれた。

しかし馬が暴れて言う事を聞かず、仕方なく大人数で橇を引き始めた。

すると程なくして、俄かに空が曇り雪が降り始めた。

事件発生からこの三日間は晴天が続いていたのだが、雪は激しい吹雪に変わり、橇を引く一行を激しく打った。

言い伝えによれば熊を殺すと空が荒れるという。

この天候急変を、村人達は『熊風』と呼んで語り継いだ。