距離は50メートルほどか。

まだだ、まだ遠い。

息を殺し、音を立てぬよう、慎重に慎重を重ねて歩を進める。

20メートルほどまで近づいた山本は、ハルニレの樹に一旦身を隠し、銃を構えた。

引き金に指をかけ、狙いを定める。

そして銃声が轟く。

一発目の弾はヒグマの心臓近くを撃ち抜いた。

山本は即座に次の弾を込める。

間を置かずに素早く放たれた二発目は頭部を正確に射抜いた。