「穴持たず…?」

問い返す亀次郎。

「ああ…何らかの原因で、冬眠さし損ねた熊の事だ」

マタギは足跡の巨大さから、この熊はあまりの巨体の為、自分の身に合う越冬穴を見つけられなかったのではないかと推測しながら。

「『穴持たず』になった熊はエレェ凶暴だ…」

そう静かに呟いた。