夕暮れが迫り、手応えを得られない討伐隊本部は検討を重ねた。

ヒグマには獲物を取り戻そうとする習性がある。

これを利用しヒグマをおびき寄せる策が提案されたが、その獲物が意味するものを前に本部内の意見は割れた。

菅隊長は一刻も早いヒグマ討伐の為に案を採用し、罵声さえ覚悟して遺族と村人の前に立った。

だが、説明に誰一人異議を唱える者はおらず、皆は静かに受け入れた。

事態はそれだけ切迫していたのである。