村人は全員分教場へ避難する事になり、重傷者達も3キロ川下の辻家に収容されて応急の手当てを受けた。

しかし、巌は母・タケの惨死を知る術もないまま。

「おっかぁ…!…熊とってけれ…!」

何度もうわ言を漏らし、水をしきりに求めつつ20分後に息絶えた。

この二日間で6人、胎児を含めると7人の命が奪われ、3人が重傷を負った。

重傷者達は翌日、更に3キロ下流の家に移り、古丹別の病院に入院したのは12日になった。