打ち上げ花火とミルクティ

「あ、そうだ。ねぇ、ケイトさん。これ知ってますか?」




青田はそう言いながら、何やら黒くて分厚い紙切れをスーツの内ポケットから取り出した。



そのままそれをテーブルに置いた。




それは、恵斗の家のポストに入っていたものと同じもののようだった。




確か靴箱の上に置きっぱなしになっているはずだ。




「これね、あ、ちょっと待って下さい。僕、お腹すいちゃって」




黒い紙について説明しかけたが、腹の虫が蠢き出したようで青田はメニューに手を伸ばした。




「あー、俺も腹減ったな。さっきおにぎり食ったけど」




ケイトも青田に倣って、メニューを手に取った。



陳腐なメニューばかりだが、こういうものほどうまそうに見えるのは何故だろうか。



「僕、ハンバーグにします。ケイトさんは?」




青田の目は輝いていた。



見た目と相違ない食欲に、恵斗は何故か安心した。



「じゃぁ、俺もそれで」




青田はニコリと笑った。



やはりニヤリと区別がつきにくい笑顔だった。




それでも人懐っこく見えるのは、何故だろうか。