「青田さんこそ、疲れてるんじゃないですか?俺なんかの担当で」



恵斗は青田の嫌味らしき発言を流した。



それもいつもの事だ。



「いえいえ、ケイトさんの担当を続けられて僕は本当に嬉しいんですよ。楽ですから」



そう言って青田は笑った。



恵斗も笑う。



「売れっ子の方って、傲慢というかなんとなく偉そうな人が多いんですよ。それに比べてケイトさんは僕をパシリに使ったりとか、暴言吐いたりとかしないでしょ?だから、僕好きですよ、ケイトさんの事」



青田はよくケイトを好きだと言う。



もちろん、速水医師的な要素でそう言っているわけではない。




だから恵斗も青田の事を嫌いにはならない。



「ありがとう。まぁ、そんな事言ってくれても締切ギリギリは変わらないですけどね」



青田は苦笑したが、恵斗はその顔を見てゲラゲラ笑った。



「あぁ、そうだ。これを渡さないとね」



恵斗はカバンからCD―Rを取り出し、青田に差し出した。



「これをもらいに来たのに、忘れてました」




青田は苦笑を交えながらCD―Rを受け取った。



こういう所もまた憎めない部分なのだろう。