「うん。あたしもそう思う。あなたはここに来るために生まれた。でもね、あたしたちが出逢ったのは運命じゃなくて宿命。そんなロマンチックな相手が女のあたしで申し訳ないけど」



マリアはそう言ってコロコロと笑った。



マリアはよく笑うし、いろいろな笑い方を知っている。



小麦色の肌に白い歯がよく映える。



「運命の彼もきっと見つけてみせますよ」


「リリーなら出来そうね」



マリアはまた笑った。



今度は五月の晴れ渡った空のような爽やかで温かい笑顔だった。
 


マリアは璃梨にないものをたくさん持っている。



誰よりも美しい容姿もそうだが、それに劣らない美しくて大きな器。



璃梨は心からマリアのような女になりたいと思った。



「マリアー、出番」



店の人間らしきスーツを着た割と若い男がマリアを呼んだ。



「はーい。じゃぁ、後でいろいろ店の説明するから。行ってきます」



マリアはひらひらと軽やかに手を振り、ステージに上がった。