璃梨はニッコリ笑ったまま、玄関は出た。



外は、雲一つない快晴だった。



璃梨は家を出ると、思いトランクを引きずりながら『escape』に向かった。



トランクの重さとは裏腹に、璃梨の気持ちは人生で一番軽やかだった。



そして、希望に満ち溢れていた。



実は『escape』がある繁華街は璃梨の実家からそれほど離れた距離ではなかった。



実際、四年前に璃梨は無我夢中だったとはいえ、走って辿り着けた場所なのだから。



簡単に行ける距離ではあったが、この四年間一度も『escape』には行っていなかった。



どうしようもなくマリアに会いたくなる事も多々あったが、璃梨は耐えた。



マリアの顔を見れば、すぐにでも家を出たくなってしまいそうだったから。



自分の野望が中途半端な形になってしまいそうだったから。



夢を叶える資格がなくなってしまいそうだったから。
 



しかし、今日。



璃梨はまた一歩夢に近づく事が出来たのだ。