昔からそうだったわけではない。



自分の病気の事を知ってからそうなってしまったのだ。



恵斗は自らの病気を知ってから、人を避けるように生きてきた。



病気のせいで家族と離れてからはより一層そうなってしまった。



家族と離れたのは、恵斗が中学二年生の頃だった。



発病して、少ししてからだった。



恵斗は、サラリーマンの父親と専業主婦の母親、それに当時高校生だった姉というごく平凡な家庭で育った。



裕福ではなかったが、貧乏でもなかった。



しかし恵斗は発病し、その平凡な家庭にはいられなくなった。



離ればなれになった時の事はよく覚えている。



三人とも、嗚咽を上げながら泣いていた。



しかし、恵斗には三人が目の前で泣き崩れている理由がわからなかった。



それももちろん、病気のせいだった。




おにぎり二つとペットボトルに入ったコーラを購入した恵斗は、気だるそうに家路に着いた。