「じゃぁ、他にどんな意味があって?」



吉岡は意味ありげに口角を吊り上げた。



「君はイケメンだから、速水先生は君の事が気になって仕方ないんじゃない?」



恵斗は一瞬戸惑った。



速水の性癖を思い出したからだ。



「いや、それはちょっと・・・」


「冗談だよ。さすがに患者に手は出さない。イケメンなのは本当だけどね」



吉岡だけは速水の性癖を知っている。



ウソはつかないし気休めや世辞は言わないが、冗談は言うようだ。



吉岡の笑顔には、人を温かな気持ちにさせる力が人一倍備わっている。



恵斗も思わず笑顔になった。



「じゃぁ、上の服を全部脱いで。本当は別に脱がなくてもいいんだけど、念の為ね」


「吉岡さん・・・もしかして・・・」



恵斗は疑いの眼差しを向けた。



「あらやだ。バレちゃった?やだぁ、もう」



吉岡は身体をくねらせ、わざとだみ声でそう言った。



恵斗は噴き出した。



恵斗のそんな笑顔を見て、吉岡もさらに笑った。



「はいはい、そんな冗談言ってないで。さっさと終わらそう」



吉岡は声を元に戻し、恵斗をレントゲンを撮る機械の前へと促した。