打ち上げ花火とミルクティ

「必死で生きなさい。後悔のないように。したい事は全部しないと生きてる意味がない。あんたはまだ若いんだから。あんたがどんな病気なのかはわからないけど、病気なら病気なりに精一杯生きて、打ち上げ花火みたいに豪快に散って死にな。ありきたりな言葉かもしれないけど、長年生きてきたこの老婆を信じてみてはくれないかな」



恵斗はこの言葉を素直に受け入れる事が出来た。



同年代に言われるのとは重みが全く違う。



と言っても、恵斗にはこんな事を言ってくれる同年代の友達はいなかった。



恵斗にも、何故だかこの婦人が近い内に死ぬという事がわかった。



「はい。ありがとうございます」



恵斗は深々と頭を下げた。



婦人は恵斗の頭を優しく撫でる。



恵斗の目には涙が溢れていた。



この老婦人に感情移入してしまったからか、自分の最期を想像してしまったのか、このまま生きていくのは辛いと思ったのか、恵斗は何故自分が涙を流しているのかがわからなかった。