打ち上げ花火とミルクティ

「俺は医者だし、医者としてはこのままの生活を続けるべきだと言うのが正しいんだと思う。でも、一人の男としては今のままでいいとは思わない。命は大事だし、何にも変えられない。だけど、それと同じだけ大事な事だと思うんだよ。どうやって生きて行くのがお前にとっていいのか、俺にはわからない」



速水は本気で辛そうな顔をした。



「先生がそんなに辛そうな顔しないで下さいよ。僕が笑わなくちゃいけなくなる。この病気を治す事は、たぶん僕が生きてる内には無理なんでしょうね。研究材料が少なすぎる。原因不明、症状もイマイチ不明、発症者現在僕だけ。そんなんで研究が進むわけがない。でもね、もう半分諦めてますよ。家族と離れた時からね。だって、どうしようもない。今すぐに死ぬという病気でもないみたいだし、とりあえずこのまま生きてみますよ」



恵斗は速水に笑いかけた。