「璃梨。一応聞くけど、夢はある?」



マリアはたくさんの質問をしてくるが、璃梨はもう何が何だかよくわからなくなってきていた。



とにかく、マリアの質問に答えるのが賢明だと思った。



「ない・・・です。小さい頃から、お母さんには医者か弁護士になりなさいって言われてきました。でも、それはあの人の夢であってあたしの夢じゃない」


「そのレールに乗りたいと思う?」



マリアはまた真剣な表情に戻っていた。



面接でも受けているかのような気持ちになってくる。



緊張で、額や背中にうっすらと汗をかいた。



「思いません」



璃梨は、これまでのどの質問に対する答えよりもハッキリとそう答えた。



「だったら、自分の道を進みなさい。絶対に医者にも弁護士にもなっちゃダメ。それがさっき言った復讐よ」



自分の道・・・。



璃梨にはすでに自分が進むべき道が見えかけていた。



そして、マリアにも。



いや、マリアの方が先に璃梨の道を見つけていたのかもしれない。