階下ではまた両親が言い争っている。



力いっぱい耳を塞いでも、母親のヒステリックな奇声と父親の地響きのような怒声が、璃梨の耳にはしっかりと届いていた。



聞きたくない・・・。



聞きたくない・・・。



璃梨はベッドから起き上がり、そのまま部屋から飛び出した。



わざと大きな音を立てて階段を下りる。



乱暴にリビングの扉を開けた。



「うるさいっ!」



そう叫ぶと、すぐに玄関へと走った。



「璃梨!なんて事言うの!」



母親がリビングから出てきた。



璃梨が靴を履いている姿を見た母親は焦った。



「どこへ行くの?!戻りなさい!」



璃梨は母親を一瞥すると、そのまま玄関の扉を開け、外へと飛び出した。