「おーい!白羽根ちゃーん」




遠くからこっちに向かって飛んで来るネロが視界に入ってきた。



「なにボケッと、飛んでんだよ!白羽根ちゃん」



いつものようにからかって呼んでくるその名前も、なんだか今日は嫌な気がしなかった。




何かが、おかしい…。




「あれっ?今日は、いつもみたいに怒らないのかよ」



ネロもそれに気付いたのか、首を傾げている。






あの日。

あの彼に会ってから、この白い羽根でいることが嫌じゃなくなってきた。

いつもみたいに、からかってくるネロに対してむっとする気持ちも湧かない。



「ネロ…私、変かも」


「はぁ?」


意味がわからないといった風に顔を歪めるネロ。




「うーん…自分でもよくわからないけど、」


「よくわかんねーけど、とりあえずいつもの威勢がないことだけはわかる」



それよりさ!と、話題を変えるネロ。


「今回のターゲットどんな奴だった?今度こそはきっちりやれそうか?」



「なんか、不思議な人だった」



またしても、はぁ?というような顔をするネロ。



「お前さ、さすがにそろそろ1つくらいは回収しろよ」