このままでは、彼の独特なペースに巻き込まれてしまう。

そう悟った私は、とりあえず一番の疑問を口にする。


「私のこと怖くないんですか?」




そう尋ねると彼は、きょとんとした顔をした後、


「怖い?なんで?…綺麗」



と、先ほどから変わらぬ声のトーンで返してくる。


落ち着きすぎてるというか。


その前に、なんていうか…彼からは人間らしさがないというか。




感情の起伏をあまり表に出さない子供をそのまま大きくしたような大人だ。




「えと、あの、その…綺麗って?」


「羽根…」


「え……」



私の背中から生えてる羽根を見ながら、彼は言う。



「白い羽根…、初めて見た、綺麗」






他の仲間と違う、この真っ白な羽根が私は好きじゃなかった。

どこに居ても、目立ってしまうし。

羽根が白いことで散々からかわれてきた。




そんな羽根を、彼は綺麗だと。
ただ、ただ純粋に。



…初めてそんな風に言われた。





この瞬間。


私の中で、この羽根に対する思いが変わった気がした。