なんで!?どうして!?
嘘でしょーーー……

泣き叫びそうになる自分をなんとかグッと堪える。



「綺麗…」


「えっ」




頭がパニックになってる中、彼が言ったその言葉に、一瞬何が起こったのか分からなかった。



パシャッという音が部屋に響いたと思った次の瞬間には、もう彼がカメラ越しに私を見ていた。



「…………」


私は茫然としたまま、でも彼から目を反らせずにいた。







「…?」



撮った写真を確認しながら、彼は首を傾げる。




「…あれ、写ってない」



カメラと私を交互に見ながら、彼はなんで?とボソッと呟く。




写真に写る死神なんて、聞いたことがない。

そもそも彼は、自分の家の中に見知らぬ、それも得体の知れない者がいるのに、どうして平然としているのだろう。



というか、彼はなんで普通に写真を撮ろうとしてるのだ。

人間っていうのは、こんな場面に出くわしたら普通は取り乱したりだとか、逃げ出したりとかするものじゃないのかな…?




「あ…、あの…」



「君、写真に写らない…」



突っ込みたくなってしまうような、そんな台詞もシュンとした顔で、そんな残念そうに言われてしまっては、こちらも何も言えない。