「そこの白羽根」


「え…っ」



聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くとそこにはネロがいた。


「ネロ…?」


だが、いつもの雰囲気と違い、ネロは難しそうな顔をしていた。
いや、怒っているのだろうか。



「どうしたの?」


そう問いかけても、無言のままネロは更に複雑な表情になってしまった。



「ネロ、どうしたの?」


「……お前、あのターゲットから外れろ」


「……え」




ネロの言っていることが、一瞬わからなかった。
理解するまでに数秒かかった。


「あのターゲットって彼のこと?」


遥か真下にあるスタジオを見下ろす。
撮影が始まった頃だろうか…?




「あの男、死神の姿が見えてるんだろ?…それを知っていながら、お前は必要以上に近付きすぎだ。情が移ったら一番困るのはお前だろ?」



「それは…っ!」


わかっている。このままでいたら、仕事に支障きたす。
それでなくとも、私は今までのターゲットの魂を回収できてない。


「わかっている、なんて言うなよ?この数日、お前の様子を見ていたんだ」


!!


「お前、あの男と普通に仲良くしていた。俺にはお前が…!」

「言わないで!!!」



思わず叫んでしまっていた。
ネロの口からそれ以上の言葉を聞いちゃいけないと思った。


それはきっと、まだ自分でも気付く手前の感情…