「はぁ……」



澄みきった青空の中、ふわふわと浮きながら、パタン…と本を閉じると『死神の心得』と書かれた表紙が目に入ってくる。

思わずため息を吐く。




「おーい!いつまでたっても見習いのままの、落ちこぼれーーー」


その表紙をじっと眺めていると、どこからともなく、黒い羽根を羽ばたかせながら、私と同期の死神が飛んできた。




「俺と同期でありながら、未だに名無しの白羽根さんっ」




そう言いながら、私の背中からスッと伸びてる白い羽根を軽く叩く。





「名無し、名無しって言わないで!」


むっとしながら反論すると、ハッと鼻で笑った音が聞こえた。
それにまた、むっとする。




「悪い悪い。白羽根ちゃんだったな」


「その呼び方もやめてよ」



ほんと、悪意を感じる。








本来、この世界では、死神の羽根は黒い。

しかし。

私は白い羽根を持って生まれた。


…突然変異だとかで、特殊な例だと言われた。
今まで、私のように白い羽根の死神など、居なかったらしい。





「いつまでたっても、死神見習いの名無しさんには指図される覚えはないね」




同期のその言葉に、ピクリと体が反応する。