湊にぐしゃぐしゃにされた髪を一生懸命手ぐしでなおしながら
楽しそうにその様子をみる湊を睨む。
「ぐしゃぐしゃになるーっやめてよしこさわらなつこー」
「でた。その意味不明な言葉。」
湊はさっきよりも楽しそうな笑顔でそう言った。
そんな会話をしながら
バイト先を後にし、駐輪場へ向かう。
私は歩きだけど湊は自転車できている。
「俺のマイチャリーどーれだー、あー…夏奈美~明かり~」
すっかり店内も駐車場も、もちろん駐輪場も電気が消えてまっくらになっていたので私は携帯を取り出してライトをつけた。
「お、あったあった。明かりさんきゅ~。…まったく。従業員用の駐輪場の電気まで消さなくていいのにな」
「節電だよ、節電」
湊はなるほど。と頷き、
自転車を押しながら道路側を歩いたので私は内側を歩く。

