金曜日の帰り道



「え、まぁね。」


悪戯に笑ってそう言えば、
湊もにやりとする。


「ひっでぇ~。そういう夏奈美はどうなんだよ~」


「彼氏いない歴イコール年齢だけどなにか」


べーっとして拗ねたようなふりをすれば、
湊はきっと、まじかよ!って、
またいつものように笑うんだろうなぁって思って


湊の方をみれば、目を少し大きくして
驚いた表情の彼がいて。

私まで目を大きく見開いてしまった。


「な、なんでそんな驚いてんのっ」


思ってもみない湊の態度に自然と笑いが込み上げて、
背中をばしっと叩いてそう言えば
湊は、ぱっと表情をかえて、
ちゃかすような口調で言った。



「じゃあ、俺がキスしてやろっか?」