ざくり。 麗の手を握っていた右手の、少し上。 二の腕の部分に、ミナが突き刺した。 「うがっ…」 悲鳴にならない悲鳴が漏れる。 「『ぅひひひひ…手が滑っちゃった。ごめんね?明星お兄ちゃん』」 次は確実に殺してあげる。 そう言って笑う。 ざくり。 「ぐ…ぐがぁ…」 刺したのは、肩。 痛みでか、ちゃんとした悲鳴は上がらず、潰れた声だけが漏れる。 「『ほら、ちゃんと悲鳴をあげてよ』」 飛び散った血をペロリと舐める。 鉄の味が口内に広がる。