私じゃない私は、ちぎり取った莎々蘭の頭を両手で抱えた。
無残に悲鳴を上げた顔のまま、時間が切り取られたように硬直している莎々蘭の頭。
ぼたぼたと血は流れ続けている。
「『ぅひひひひ…バイバイ、自己中な岡 莎々蘭』」
莎々蘭の耳元に向かってそう囁くと、ポイっと、何のためらいもなく投げ捨てた。
「『~♪~♪』」
鼻歌を歌い出すミナ。
そして、その場を離れた。
『…うぅ…う、う…』
気持ちが悪くてたまらない。
他のことなんて考えられないほどに。
怖い話は好きで、結構グロいものも読んだ。
でも、現実とは違う。
目の前で起きるのと、本の中で起きるのとは、全然違った。
そういえば…なんで、莎々蘭は一人だったんだろう。

