「『鬼ごっこ、スタート』」
私じゃない私が声を発する。
私じゃない私の言葉を、私の唇が紡いで行く。
そして、真っ暗になる視界。
ミナが、私の両手を使って視界を塞いだと気づいた時には、ミナは走り出していた。
『なんで走るの!』
心の中で叫べば、返事が返ってきた。
『なんで?鬼ごっこだから』
単純な答え。
でも、明確な答え。
でも…
『でも、どこに逃げたか分からないじゃない』
『ぅひひひひ…わからないと思ってるんだあ…うん、わかんないけど。大抵、勘が当たっちゃうんだあ』
狂ってる。
正常じゃない。
当然で、だけど本当に目の当たりにすると信じられない異常。

