「まず、鬼になると体の自由はない。思い通りに動かすことが出来なくなる。ほら、建物に入るまで、体を動かせないのに、勝手に体が動いてるだろ?」


「あぁ」

「うん」


「それとおんなじ。で、意識はある。感覚もある。お前らを殺した。覚えてる。この手で…握り潰した。止まらない。止められない。すまなかった。謝って済むことじゃない。許されることじゃない。それでも。すまなかった」


麗が、震える両手をギュッと握りしめて、私たち二人に頭を下げた。


鬼になったことのない私には、分からない。


でも、自由のきかない体、勝手に動き出す体、その不安は分かる。


「…いいよ、もう」


私だって、多分すぐに鬼になる。

だから、麗を許す。


いや、それ以前に麗は何もやってない。


「そういやぁ、麗。莎々蘭は…どうやって死んだんだ?あの女の子が言ってた通りなら、普通の殺し方じゃなかったんだろ?俺、1番に死んだから」


それは…少し、気になる。

私と明星は、首を締められた。

だから、かもしれない。