『おいしー…!』
この時間帯は、ちょうど夕飯時で
ここ、駅前のファミレスは
予想以上に混雑していた。
「なに頼んだの?それ」
『苺ホイップパンケーキだって。
苺なんか一個しかないのにね』
最後に食べようと、
端に寄せていた苺を少しだけかじった。
口の中に
甘酸っぱい、爽やかな風味が広がる。
「つか、どして急に寄り道?」
『…や、親が帰り遅くなるらしくて』
「寂しいから?」
『決してそうではなく』
否定しているのにもかかわらず
澄川くんは、
からかうように笑う。
…言ってしまいたい
しかし言うわけにはいかない。
なにせあいつ、東野は
この学校じゃ大物俳優レベルの存在なのだから。

