「…あれ、瀬川さん?」
誰かいるとは思ってなかったのだろう。
少し驚いた視線が、
私に向けられた。
『あ、えっと...澄田くん?』
話したことのない、彼の名前は
正直自信がなかった。
「あー残念、ちょっと惜しい。
俺の名前は澄川でした」
そういって…澄川くん、は
冗談ぽく笑った。
『え、あ、ごめんなさい』
「いや、全然。
てかそれ…雑用?」
今年、2年になって
初めて同じクラスになった澄川くん。
『うん、中谷に押し付けられた』
「あー、あいつか。
そいやもう一人の日直休みだもんね」
どうせサボりだけど。
というのは、優しい優しい沙穂ちゃんが
黙っててあげるとしよう。
「じゃー俺、手伝うよ」

