翌日の練習に澪は来なかった。
『澪ちゃんどうしたのかなー。』
『そっとしとくしかないだろ、今は。』
学校終わりでスタジオに入り、空いた小腹をパンで埋める。
誠太は今日も呑気で、悠斗は今日も冷静だ。
悟はきっと今頃スクールで勉強に励んでいるだろう。
『樹季?いーつーきー!』
「え?あ、なに?」
『なんだよボーっとしちゃってさ。』
その中で俺だけが自分を見失っている。
『澪ちゃんが練習に来ないってだけでモチベーション下がるわー。』
『何バカなこと言ってんだよ。どうせすぐ彼女の為に!とか言うくせに。』
いつもの光景、いつもの会話。
ただそこに澪が居ないだけで、こんなにも虚しい。
あの後澪と早坂がどうなったのか、どうして澪は今日練習に来なかったのか、考えることは澪のことばかりだ。
『よし、叩こー!』
一足先にパンを食べ終えた誠太のドラムがスタジオ内に響き、我に返る。
「音楽以外のことでこんな悩んだの久々だわ。」
思わず零れてしまった心の声を、悠斗が聞こえないフリをしてくれたことがありがたかった。



