『いつも上手くあしらってますけど彼女とか居ないんですか、って聞いた。
そしたら“今は彼女じゃないけど大事な人が居るから、その人を守りたい”って言ったんだ。』
今は彼女じゃないけど大事な人。
早坂はその言葉に、澪の面影を重ねたのだろうか。
『なんで2人が別れたのか、なんで澪がピアノまで辞めようとしたのか、本当のことは俺には分からない。』
でも、と一旦言葉を置いてから悟ははっきりと言った。
『早坂先生は、まだ澪のことが好きだと思う。』
頭の中でその言葉を繰り返す。
澪も、まだ早坂のことが好きなのだろうか。
『俺お前に早坂先生は悪くないと思うって言ったけど、あれは俺がそう信じたいだけなんだ。』
「分かってる。」
『でも、このまま2人が傷付いたままでいるくらいなら、本当のことを知ってほしいとも思う。』
もしかしたら、悟はずっとその複雑な感情をひとりで抱えていたのかもしれない。
『任せても良いか?お前に。』
「当たり前だろ。」
まっすぐに目を見て答えた。
俺が澪を助ける…
そんな想いを込めて。



