『負けてんなよ。』
「心折れた、プライドやられた、もうムリ。」
今度は俺の声が溜め息混じりになる。
ふらふらとその場にしゃがみ込むと、悟も隣に座ってあぐらをかく。
『言ってなかったけどさ。』
「ん?」
『前に、早坂先生がスクールの生徒から告白とかされても軽くかわしてるって言っただろ?』
澪がバンドに入ることになった頃に悟が話していた早坂像を思い出す。
誠実で大人だと言う悟の言葉に嘘はなく、心から憧れているようだった。
『でもあれは、ただかわしてるんじゃなくて大事な人が居るからだって言ってたんだ。』
「大事な人?」
その言葉と澪が一瞬で結び付く。
『たぶん、澪のことだと思う。』
「お前、知ってたのか…?」
少し責めるような口調になってしまったからか、悟は気まずそうに頷いた。



