『早坂先生…。』
すがるような澪の声を聞いて、俺は反射的に身を隠した。
こいつが、早坂…。
『寄ってたかって、見苦しいよ。』
冷たく言い放った早坂の言葉に女子たちは一瞬で黙る。
長身で顔も良く、少しチャラく見える早坂に怯んだのだろう。
『この子のピアノ聴きたい人いるから、ここに。』
そして早坂が澪をかばうように前に立つと、女子たちは軽く目配せをしてその場を去って行った。
『今度この子に話しかけたら、俺が許さないからね。』
その背中に早坂が声を投げる。
姿が見えなくなってからやっと、澪が息を吐いた。
『先生…どうして?』
『久しぶりだな。』
その声にホッとしたのか、澪の目からポロポロと涙が溢れた。
そんな澪の頭を、早坂がそっと撫でる。
『お前に、会いに来た。』
その言葉を聞いたとき、俺の中で何かが弾けた。



