フロアに出て悟に言われた服装の男性を探す。
青いシャツ…黒いジャケット…茶髪…背が高い…。
探してもなかなか見当たらず、もう帰ってしまったのかと諦めかけたとき、人気のなくなり始めたフロアの片隅に居る澪が目に入った。
「澪?」
澪は制服を着た女子数人に囲まれていた。
友達って雰囲気ではないし、ファンというわけでもなさそうだ。
なんとなく近寄り難い空気を感じながらもそっと距離を詰める。
『超ビックリしたー、まだ懲りずにピアノ弾いてるとか。』
『しかもバンドとか調子乗っちゃってさ。』
『お前のピアノなんか誰も聴きたくないからね。忘れたの?』
分かりやすい敵意を向けられて、澪は俯いたまま黙っている。
懲りずにピアノ弾いてる?
調子乗ってる?
誰も、聴きたくない?
澪は俺の大事なメンバーだ。
バカにすんなよ。
『君たち何やってんの?』
俺が声をかけようとした瞬間、別の方向から聞こえてきた声に俺の声はかき消された。



