翌日、学校帰りにスタジオに寄ると先客が居た。
悟と澪だ。
ドアを開けると一瞬気まずい空気が流れたが、すぐに消えた。
『昨日はごめんな、なんか感情的になって。』
「いや、悪いのは俺の方だから。」
『…次は頼むぞ。』
言いたいことは、沢山あると思う。
仲良しごっこじゃなくて、ちゃんとぶつかるべきときもあると思う。
だけど悟はそれ以上言わなかった。
その表情から、樹季から灯里のことを聞いたのだろうなと察してまた心がザワつく。
リーダーとしてバンドを引き締める立場である俺が、バンドの空気を温くしている。
『この前話してた曲のことだけど…』
再び気まずい空気が流れそうになったとき、澪が俺ら2人に向けて言った。
「曲?」
『うん、歌詞書いてみないかっていう…。』
『あぁ、それ。やってみる気になった?』
悟の表情がパッと明るくなった。
新曲ができたから歌詞を付けてみないか、と澪に最初に提案したのは悟だ。
澪も歌詞を書くようになれば曲の色も幅広くなるし、もちろん賛成だ。
そしてそれを本人がやる気になってくれたのなら、バンドとして大きな前進になる。



