ライブをすれば必ず足を運んでくれたし、曲ができればその感想を素直に教えてくれた。
休みの日もスタジオに籠って練習すると言えばお弁当を作ってくれたし、灯里の口から不満なんて聞いた覚えがない。
あの頃、灯里は俺の全てだった。
音楽とどっちが大事かなんて比べられないくらい特別で、大切で。
だけど灯里にそれが伝わっていたかと思い返せば、自信がない。
自分という彼女が居ながら、俺には音楽が全てだと思っていたかもしれない。
どちらにせよ、俺が悪いことに変わりはないのだ。
灯里を失った今、俺には本当に音楽しかない。
それに…。
いつかデビューすれば、どこかで灯里が見てくれるかもしれない。
動機は不純だが、俺はもう一度ライブの出来を反省し、心を新たにした。



