『俺、まだ許してもらえたと思ってない。』
「許すって…何を?」
聞きながら、不意にある場面が蘇る。
『樹季と早坂先生…どっちが好きなんだって澪に聞いたこと。』
デビューに対する意見がメンバーで少し食い違ってしまったあのとき、悟は澪にそう問い詰めた。
澪は答えないまま部屋を飛び出し、その次に会ったときに俺たちは別れた。
『俺、ずっと後悔してた。そもそも俺が樹季と早坂先生を会わせなきゃこんなややこしいことにもならなかったのにって。』
悟が良基さんを兄のように慕っているのは知っていたし、俺が良基さんと出会うきっかけを作ってくれたのも悟だから、俺が澪と付き合い別れるに至った経緯を全て話している。
「会わせてくれって頼んだのは俺だし、澪と付き合うって決めたのも俺だから。悟が負い目を感じることなんて何もねぇよ。」
実際あのとき悟は俺を素直に応援してくれていたし、澪のことも心配していた。



