澪がそれについて話すことはなかったけれど、表情を見ていれば幸せなことが伝わってきて、そのときには不思議な程悲しさも苦しさも湧いてこなかった。
本当に良かった、それだけだ。
俺たちがデビューするABCレコードのスタッフさんたちは、ひとり抜けた4人でデビューすることも受け入れてくれた。
卒業を間近に控え、俺たちはデビューに向けての準備を進めている。
事務所との正式契約、デビュー曲についての会議、デビュー発表時のアーティスト写真の撮影…。
めまぐるしく過ぎて行く日々の中でふとひとりの時間ができると、不意に澪を思い出す。
だけどいつか、澪が居ない日々にも慣れてしまうのだろう。
相変わらず彼女愛が強い誠太に、灯里ちゃんと順調そうな悠人。
デビューが決まり更に音楽へのストイックさを増す悟。
俺も、今はただ音楽と向き合っていたかった。
歌っている間は現実を忘れていられる。
俺には歌がある。
メンバーが居る、バンドがある。
だから大丈夫だ。



