何度でも、伝える愛の言葉。


『良基さんはバンドメンバーに裏切られてひとりだけデビューすることができなかったの。そのときの良基さんの気持ちを思うと…やっぱり傍に居たいって思っちゃって。』


やっぱり傍に居たい。

澪が落ち着く場所は、やはりここだったのだ。



「酷い人、でも…?」


良基さんが澪と別れた本当の理由を、その頃の澪はまだ知らなかった。

“酷い人”だとしても傍に居たいと思わせる良基さんには完敗だ。



『うん。…酷い人じゃないって、分かってたから。』

「え?」


澪はそう言うと、いつかのライブハウスで良基さんに出会ったときの話をした。

俺が初めて良基さんを見た日だ。

良基さんが澪のことをさり気なく守った後に好きじゃなかったと突き放した日。



『私が本当に好きじゃなかったの?って聞いたら、好きじゃなかったって言われたの。』

「うん。」

『良基さんって、やっぱり嘘がつけない人なんだなって思った。』


あぁ…と、溜息のような声が漏れる。

好きじゃなかった。

つまりは、本当に好きだった。