先に泣くのは反則だよ…
そう思いながら、先程見た良基さんの泣き顔を思い出していた。
やっぱり似てるな、この2人。
「澪、どうした?」
傍へ近付くと、俺がベンチに座る前に澪が立ち上がりまっすぐに俺を見上げる。
『樹季くんは、知ってたの?』
「何を?」
『先生が私と別れたのは、私のことを守る為だったって。』
いきなり直球が飛んできて驚く。
どこでそれを知ったのか。
『誠ちゃんから聞いたよ、樹季くんが先生に会いに行ったって。私のこと、何か聞いたの?』
「ごめん、こそこそ会いに行くようなことして。」
今澪が聞きたいことはこんな謝罪じゃないと分かっていながら、頭を整理する為に一息つく。
「良基さん…早坂先生に会った。澪とのことも全部聞いた。」
澪の為だと思っていながら、こうして言ってしまうと後ろめたさを感じた。
あのとき良基さんに会うべきだったのは澪だったのに。
「ごめん。」
自然と出た声は、風に流されてすぐに消えてしまう。



