ポケットの中でスマホが震える。
俯いたままの良基さんに気付かれないようにそっと画面を見ると澪からメールが届いていた。
『話したいからスタジオ近くの公園で待ってる。』
会って話したいと送った俺のメールへの返信だった。
あまり待たせ過ぎないうちに、良基さんへ想いを伝えなければ。
「あの…正直に答えてほしいんですけど、」
少しトーンが落ちた俺の声に良基さんが顔を上げる。
いつか見た、人を寄せ付けないような悲しげな表情だった。
澪と同じような目をするんだなと、前にも感じたことを思い出す。
「澪のこと、今も好きですか?」
もう、答えは聞かなくても分かっていた。
澪を頼むよと言ったときも、超えろよと言ったときも、その目の奥はとても寂しそうだったから。
それでもちゃんと言葉にして聞かなければ決心がつかない。
俺が、澪を手放す決心が。
何があっても俺が澪を放さない、そう約束したはずだった。
だけど良基さんの元へと導く為なら、約束を破ったわけではないと信じたい。



