『これ、来たな。』
熱気の残る歓声を背中に受けながら控え室に戻ると、悠くんが呟く。
短いけれど気持ちのこもったその一言に、メンバーの想いも詰まっていた。
この後ABCレコードのスタッフたちと話すことになっている。
誰からともなく握手をして、皆で今の気持ちを分かち合った。
期待や、充実感や、夢に近近付いた喜びを。
『澪、良かったよ。』
樹季くんがそっと頭に手を置く。
その目は、今までで1番輝いているように見えた。
この目がこれからもっともっと輝いて行くのだと思うと嬉しくて嬉しくて、ただ笑顔が零れる。
『おーい。』
ライブハウスのオーナーが私たちを呼んだ。
『スタッフ待ってるよ。』
『はい、行きます。』
一瞬で張り詰めた緊張をほぐすように皆で頷き合った後、控え室を出る。
オーナーに案内された部屋には、2人の男性スタッフが待っていた。
30代前半に見える穏和そうな2人に少し気持ちが和らぐ。



